2026年2月、一本のYouTube動画が突然、大ヒットになりました。
KEXPでのライブというだけでは珍しくはありませんでしたが、そこで繰り広げられるのは、奇妙な恰好と、それ以上に奇妙な音階、そして変拍子で突き進んでいく、まさに誰も観たことがない超ド級の変態バンドでした。
この動画は日本だけでなく世界中でバイラルヒットとなり、彼らはまさにある意味において早くも2026年を象徴するようなバンドとなったのです。
彼らはアンジーヌ・ド・ポワトリーヌ(Angine de Poitrine)。
最近では、フー・ファイターズのデイヴ・グロールも彼らを褒め称えています。
「昨日、友達から送られてきたんだけど、マジで度肝を抜かれたよ。名前はアンジーヌ・ド・ポワトリーっていうんだ」
「カナダ出身だと思う。たぶんケベックかな。どう説明すればいいか分からないけど、とにかくこの人たちを観てほしい」と続け、最後に「完全にぶっ飛んでるよ、マジで」と評しています。
すぐさま日本では、彼らのフジロック`26の出演が決定。これは大ニュースとなり、SNSは彼らに対しての期待や賛辞で溢れかえっています。
⚡️ ANGINE DE POITRINE#フジロック’26 ダークホース💥
今年KEXPなどのライブ動画で話題沸騰!ドット柄の謎に包まれた2人組 #AngineDePoitrine
先週ニューアルバム『Vol.II』を発売した彼らが、時空を旅するロックンロールを苗場に叩きつける!
▶︎https://t.co/mvJPj5Seam
The mysterious… pic.twitter.com/7vzAdbqbTi
しかし、有名になったばかりでフランス語や英語の情報しかなく、日本語ではまだ彼らについては情報が少ない状態です。
そこで今回は彼らのフランス語や英語のインタビューを多数引用し、彼らの秘密に迫ります。
アンジーヌ・ド・ポワトリーヌ(Angine de Poitrine)は、カナダのケベック州サグネ市の一地区、シクーティミ出身のデュオ。自分たちは宇宙人で、現在333歳だと自称しているようです。
Vous vous connaissez depuis l’âge de 13 14 ans. Vous dites venir d’une Autre planète, avoi r 333 ans.
(司会者:)あなたたち二人は、13〜14歳の頃からの付き合いだと聞いています。あなたたちは自分たちを別の惑星から来た存在で、333歳だと自称していますね。
非常に新しいバンドで、2019年に活動をスタートし、2024年と2026年に2枚のEPしかリリースしていません。
メンバーは、ギター&ベースのクン・ド・ポワトリーヌ、
そしてドラムのクレック・ド・ポワトリーヌ。
もちろんこれは偽名で、彼らの正体は不明。面白いことに、彼らのRedditコミュニティの最初のルールは「正体についての推測は禁止」だそうです。
そして、バンド名はフランス語で「狭心症」の意味。
Though Klek and Khn de Poitrine won’t discuss their anonymity, they do cop (albeit humorously) to their name and inspiration. “Both visually and sonically, our main influence is the proboscis monkey,” says Khn. “The name was thrown out there as a joke at first, but we found it coherent with the idea of dissonance-induced cardiac malfunction,” adds Klek. “That, and the sense of urgency that can be felt in some of the songs,” Khn continues.
「ビジュアル的にもサウンド的にも、主な影響はテングザルだね」とクンは言う。
「バンド名は最初は冗談で出てきたんだけど、不協和音によって引き起こされる心臓の異常というアイデアと合っていると感じたんだ」とクレックが付け加える。「それに加えて、僕たちの曲の切迫感とも関係しているね」とクンは続ける。
バンド名がフランス語なのは、彼らのいるケベック州では公用語がフランス語だからです。ちなみにケベック州はモントリオールがある地域。
メンバーについては後述しますので、ここではイントロダクションとしてフジロック公式ページに書かれているプロフィールを引用しましょう。
時空の旅人を自称するKlekとKhnによるデュオ「Angine de Poitrine」は、アシッドテクノ、ディスコ、ロックをルーツとするバンドです。タイトなドラムとダブルネック・微分音ギターが絡み合う、非対称で不協和音を伴う催眠的なサウンドで人々を熱狂させています。
2024年の『Vol. 1』発表以降、モントリオール国際ジャズフェスなど数々の主要な舞台で活躍し、現在は仏レンヌの権威あるフェス「トランス・ミュジカル」に狙いを定めています。
新作アルバム『Vol. 2』は、ループベースの音楽の境界線を押し広げる大胆かつダイナミックな構成を持ち、細部にユーモアを宿した活気に満ちた作品です。中でも収録曲「Mata Zyklek」は、轟音と猛烈なテンポで疾走し、低予算アクション映画のパロディのように起伏に富んだワイルドな展開をみせます。純粋にロックを楽しむ彼らの魅力が詰まっています。
とこんな感じですが、これだけだとよく分からないと思うので、少しずつ解説していきましょう。
まずはサウンドから。
先ほどのこの動画を観ていただければ分かるのですが、音がなんだか気持ち悪い感じがしますよね。普段聴いている音楽と何かが違う。
それがさっきのプロフィールに記載があった「微分音ギター」です。微分音は英語でマイクロトーナルと言い、通常のピアノの音よりもさらに細かい音程を扱う音楽のことを指します。
例えばドとドのシャープは半音違いで、この「半音」が一般的な西洋音楽(12平均律)の最小単位です。マイクロトーナルでは、この半音をさらに細かく分割することがあり、代表的な例としては半音を半分にした「四分音」があります。この場合、1オクターブが12音ではなく24音になります。
(さらに細かいマイクロトーナルもありますが、アンジーヌ・ド・ポワトリーヌは主にこの四分音を使っています)
ギター&ベースのクン・ド・ポワトリーヌは、この四分音のギターと四分音のベースをダブルネックに改造した変態楽器を使用。
これにより、彼らは自分たちの音楽をマイクロトーナル・ロックと称しています。
Adele: How would you describe your music? If you had to describe it in your own words.
Klek: We like to keep it broad, so we just say we play rock. Microtonal rock, to specify that it has this particular characteristic. It’s easier.
アデル:あなたたちの音楽をどう説明しますか?もし自分たちの言葉で説明するとしたら。
クレック:できるだけ広く言いたいから、ただロックをやっていると言っているけど、特徴を示すためにマイクロトーナル・ロックと言うこともある。そっちの方が分かりやすいから。
そして、なぜマイクロトーナルを使っているのか? についても明かされています。
Adele: What attracted you to microtonality?
Klek: As a drummer, I don’t really have any concrete link to what I’m about to talk about, but I’ve always been a huge fan of “Oriental music,” for lack of a better term: like Indian music, Japanese music, and so on. They seem to have an added complexity simply because of the added notes. The depth that quarter tones and third tones bring has always captivated me. Being people who really love tension and friction between the notes, it was almost natural for us to go in that direction. I built the first microtonal guitar we used myself. I added more frets on a guitar, with a saw. But since I’m not a guitarist, I wasn’t using the instrument’s full potential. So, I brought it to Khn. I told him, you have to try this, it makes absolutely no sense. Then, right away, the moment we started playing with it, we just laughed, you know, because of the friction created, and the proximity of the notes.
Khn: At first, you know, my idea was definitely to see how to get that kind of slightly Arabic-sounding colour. But I quickly moved towards a more modal approach, to try and exploit the potential for dissonance it offers, without falling into things that are very stereotypical and reminiscent of a culture that, ultimately, isn’t mine. And, you know, my musical background, personally, is very much rooted in progressive rock, modern jazz, and contemporary music. It’s just natural for me to use quarter tones in a language that’s more cubist, let’s say, more Zappa-esque in its phrasing. The way I use quarter tones allows me to explore chromatic approaches that are twice as long and then build more tension. But ultimately, most of the tunes we make could be harmonically compared to something along the lines of the tunes on John Scofield’s Überjam or Miles Davis’s So What.
アデル:マイクロトーナルに惹かれた理由は何ですか?
クレック:ドラマーとしてはこれから話すことと直接的な関係があるわけではないんだけど、僕はずっといわゆる東洋音楽が大好きだったんだ。インド音楽とか日本の音楽とか、そういうもの。音が増えることで、単純に複雑さが増しているように感じるんだよ。四分音や三分音がもたらすあの深みにずっと魅了されてきた。僕たちは音同士の緊張や摩擦がすごく好きなタイプだから、そっちの方向に進むのはほとんど自然な流れだった。
最初に使ったマイクロトーナル・ギターは、自分で作ったんだ。ノコギリでギターにフレットを追加した。でも僕はギタリストじゃないから、その楽器のポテンシャルを完全には使いこなせていなかった。それでクンのところに持っていったんだ。「これ試してみてよ」って。で、実際に弾き始めた瞬間、音が近すぎて思わず笑っちゃったんだよね。
クン:最初は、やっぱりちょっとアラビックな響きをどう出せるか、っていうところから始まっていたと思う。でもすぐに、もっとモーダルなアプローチに移っていった。最終的に、異国の文化を想起させるいかにもステレオタイプな方向に行かずに、不協和音の可能性を試したかったんだ。
それに、僕の音楽的バックグラウンドはかなりプログレッシブ・ロックやモダン・ジャズ、現代音楽に根ざしているから、四分音をもっとキュビズム的というか、ザッパ的な言語の中で使うのは自然なことだったと思う。四分音の使い方によって、クロマティックなアプローチを倍の長さで展開できるようになって、より大きな緊張を作ることができる。
でも最終的には、僕たちの曲の多くは、和声的にはJohn Scofieldの『Überjam』とか、Miles Davisの「So What」みたいなものに近いとも言えると思うよ。
初期の彼らはトルコのアナトリアン・ロック(サズという民族楽器でマイクロトーナルを弾く音楽)からも影響を受けており、それが「アラビックな響きをどう出せるか」という話でしょう。実際に彼らの曲を聴いてみても、アラビックな響き、民族的な雰囲気を持つフレーズは多数登場しています。
In the beginning, I think we were leaning a bit more towards Turkish rock influences.
クン:初期は、トルコ・ロックの影響をもう少し強く受けていたね。
しかしそこで終わらず、John Scofield的なジャズに潜む不協和音を参考に、マイクロトーナルを民族的な雰囲気だけで終わらせずに曲全体に組み込んで、ダンサブルなロックに仕上げたのが彼らの独自性です。
Khn: You’re absolutely right. The goal is precisely to fully utilize the instrument. Even in Eastern music, it seems that microtones are often used as embellishments here and there. The idea for us is really to use them like any other note.
クン:僕たちのゴールは、とにかく楽器を完全に使い切ることなんだ。東洋音楽でも、マイクロトーナルって装飾的に、部分的に使われることが多いように思うけど、僕たちはそれを全体的に普通に使っていたい。
このマイクロトーナルによる不協和音を活かした奇妙な響きを、ギターとベースの両方で鳴らすわけですが、クンは一人でその両方を弾かなくてはならないため、音をループさせるエフェクター、ルーパーを多用します。
これによってフレーズの反復が曲の根幹となり、テクノやハウスのような反復の恍惚感が生まれます。これについても本人たちが言及しています。
Khn: What I find interesting about your question is that it makes me think about the role of the looper in all of this. Our musical concept is definitely based on it, to the point that becomes an instrument in itself. For me, it’s a demanding task in terms of mastering the tool, which I enjoy it. But it creates really significant limitations, not only in terms of arrangements, but also in the song’s structure. It’s an interesting challenge to take on. What I find interesting is that it inevitably leads us into an aesthetic territory somewhat reminiscent of techno music. We listen to a lot of electronic music in general: I love listening to acid techno, and Klek listens to a lot of house. I think we wouldn’t necessarily embrace this level of repetitiveness if we had the freedom to go anywhere, anytime.
クン:その質問で面白いと思うのは、これがルーパーの役割について考えさせてくれるところなんだ。僕たちの音楽的コンセプトは間違いなくルーパーに基づいていて、もはやそれ自体が一つの楽器になっていると言えるくらいだ。
このエフェクターを使いこなして曲を演奏するのはかなり大変だけど、楽しんでやれている。そして同時にルーパーは、アレンジだけじゃなくて曲の構成に関してもかなり大きな制約を生み出している。でも、これが面白い挑戦なんだ。
興味深いのは、そうした制約が結果的に、どこかテクノを思わせるような美学へ僕たちを導いていくことなんだ。僕たちは普段から電子音楽をよく聴いていて、僕はアシッド・テクノを聴くのが好きだし、クレックはハウスをたくさん聴いている。もっとも、もし完全に自由にできるなら、ここまで反復的なやり方は選んでいなかったと思うけど。
C’est ça Une touche électro ou techno au niveau de la construction structurelle des pièces et non du timbre puis au niveau timbral c’est plutôt ancré dans une tradition très rock rock instrumental un peu chanteuse fait que c’est ça en gros un truc quand même basé pour la danse pour faire danser les gens on peut en transe avec peut être Ce délire de boucle de risque comme ça Qui s’affichait. Oui, c’est ça. Idéalement, les gens dansent en cinq puis en septC’est ça Une touche électro ou techno au niveau de la construction structurelle des pièces et non du timbre puis au niveau timbral c’est plutôt ancré dans une tradition très rock rock instrumental un peu chanteuse fait que c’est ça en gros un truc quand même basé pour la danse pour faire danser les gens on peut en transe avec peut être Ce délire de boucle de risque comme ça Qui s’affichait. Oui, c’est ça. Idéalement, les gens dansent en cinq puis en sept
クレック:つまり、構造的な面ではエレクトロとかテクノ的な要素がある、っていうことなんだ。音色の面じゃなくて、あくまで曲の作り方としてね。音色的にはむしろかなりロック寄り、インストのロックで、ちょっと歌っぽいニュアンスもある感じだ。
だから要するに、全体としてはやっぱりダンスのための音楽なんだよね。人を踊らせるためのもの。トランス状態に入れるような、そういうループ的なノリというか、ちょっとしたトリップ感みたいなものがある。理想としては、みんな5拍子とか7拍子で踊ってくれたらいいなって思ってる。
こうしたマイクロトーナルギター&ベース、そしてルーパーを使った反復を変拍子で行うサウンドが、フジロック公式のプロフィールにあった「タイトなドラムとダブルネック・微分音ギターが絡み合う、非対称で不協和音を伴う催眠的なサウンド」という言葉の中身です。
ちなみに、彼らが自分たちのジャンルを語るときはマイクロトーナル・ロックだけでなく、他の言葉も使っています。「キュビスム的適応型マイクロトーナル・ロック・オーケストラ」、「マントラ・ロック」、「マントラ・ロック・ダダ・ピタゴラス・キュビスト・オーケストラ」などです。
では次は、彼らのビジュアルについて触れていきましょう。
どうやって思いついたんだと言わんばかりの、一度観たら絶対に忘れないビジュアル。それもアンジーヌ・ド・ポワトリーヌの大きな特徴です。
モノトーンと差し色にゴールドを使用、それに水玉模様を駆使し、仮面を被って手足までペイントしています。
ギターのツマミにサイコロを使う徹底ぶり。
ちなみにドラムのクレックは、目がこの位置👇にあります。
この衣装については、彼らはこう語っています。
In 2019, a friend of Khn and Klek’s was a manager at a music venue, and he had a slot to fill so they suggested themselves. The only problem was they had performed at the same venue earlier that week as part of a different project, and they were scared no one would come to see them again. Queue the masked costumes and body paint.
2019年、クンとクレックの友人がある音楽会場のマネージャーをしていて、出演枠に空きがあったため、彼らは自分たちを売り込んだ。
ただ問題が一つあって、彼らはその同じ会場で、同じ週の少し前に別のプロジェクトとしてすでに演奏していたため、もう一度出演しても誰も観に来てくれないのではないかと不安だった。
そこで登場したのが、マスクの衣装とボディペイントだった。
Cet engouement dépasse les deux intrigants musiciens, d’autant plus que l’idée des costumes et de l’anonymat n’était qu’une blague au départ ; un prétexte pour que le duo puisse avoir deux projets différents, puis se produire sur une même scène sans se faire reconnaître.
On avait comme lancé un peu à la blague : hey on va se déguiser, puis le monde ne saura pas que c’est nous autres, raconte Khn, qui est à la fois guitariste et bassiste. Grosso modo, c’est parti de cette idée-là… puis ça a dégénéré! On s’est mis à rentrer dans le trip des costumes, de la scénographie, de l’anonymat, puis dans le petit côté espiègle de tout ça.
この熱狂は、二人の謎めいたミュージシャンを超えて広がっている。というのも、衣装や匿名性というアイデアは、最初はただの冗談にすぎなかったからだ。二人が別のバンドを持ちながら、同じステージで正体を知られずに演奏するための作戦だったのである。
「冗談半分で『変装しよう、そうすればみんな僕たちだって分からないだろ』って言ったんだ」と、ギタリスト兼ベーシストでもあるクンは語る。「そこから始まったんだ……そして、そこから一気にエスカレートしていった! 衣装とか、演出とか、匿名性とか、そういうのにどんどんハマっていって、そのいたずらっぽい感じも含めて楽しむようになったんだ」
Adele: I know you must get asked this a lot, but what are your major influences in creating your very atypical visual identity? Is there a reference to The Residents, for example?
Klek: No. We’ve never listened to them, which is the worst part. Actually, the costumes were initially a joke. We wanted to be able to play twice in the same place in the same week. When you’re in a band, you’re not supposed to play twice in the same week in the same place, otherwise people won’t come. Initially, it was strictly to hide our faces and make our shows different. We also love a good joke; that’s what we identify with the most. We like everything to be a bit light-hearted and fun. Over time, we’ve just learned to live with the idea that our band is particularly quirky. And now, it actually serves a purpose: it creates a separation between our private lives and our stage persona, and allows us to remain anonymous.
アデル:この質問はよくされていると思いますが、あなたたちの非常に独特なビジュアルを作るうえでの主な影響は何ですか? 例えばザ・レジデンツの影響はありますか?
クレック:いや、実は彼らの音楽を聴いたことすらないんだ。よくないことだね(笑)。
実際のところ、最初はただの冗談だったんだ。同じ場所で同じ週に2回演奏できるようにしたくてね。バンドをやっていると、同じ場所で同じ週に2回やるのはNGで、そうすると人が来なくなるから。
最初は純粋に顔を隠して、ショーを別物に見せるためのものだった。それに、僕たちはいいジョークが大好きなんだ。それが一番自分たちらしいところだと思っている。すべてがちょっと軽やかで楽しいものであってほしいんだよね。
時間が経つにつれて、自分たちのバンドがかなり風変わりだと認めるようになった。そして今では、ちゃんとした役割も持っている。プライベートな生活とステージ上の人格を分けることができるし、匿名でいられるようにもしてくれているんだ。
Il y a une certaine part de mystère avec vos habits. Pourquoi avoir choisi d’incorporer les costumes et l’identité visuelle unique de la formation ?
Les masques et l’anonymat, c’est venu avec l’idée de s’assurer que les gens ne confondent pas la proposition avec celle d’autres bands dont on fait partie. De donner à Angine une signature distincte. Mais on s’entend, c’était pas une nécessité. Derrière ce casse-tête logistique incroyable et les heures innombrables à peindre des picots et se beurrer les doigts dans du papier mâché, il y a, d’une part, une espièglerie amusée. Ensuite, il y a aussi une mentalité selon laquelle un show, c’est pas juste de la musique. C’est stimulant de prendre le contrôle sur tous les aspects qui entourent un projet musical. C’est le pôle opposé aux courants élitistes qui valorisent uniquement la matière sonore, comme si ça enlevait de la valeur au contenu de chercher à décorer le contenant. Mais au final, même le jazzman placide fait un choix conscient en matière d’esthétique quand il choisit sa cravate pis ses shoeclaques avant le show.
インタビュワー:あなたたちの衣装にはある種のミステリーがありますが、なぜコスチュームや独自のビジュアルを取り入れることにしたのですか?
アンジーヌ・ド・ポワトリーヌ:マスクや匿名性は、もともと自分たちが関わっている他のバンドと混同されないようにするために生まれたものなんだ。バンドに明確な個性を与えるためでもある。でも正直なところ、それが絶対に必要だったわけじゃない。
このとんでもなく複雑な衣装や、沢山の時間をかけて水玉を塗ったり、手をベタベタにしたりしているその裏には、まず一つには、ちょっとしたいたずら心がある。それに加えて、ショーというのは単なる音楽だけじゃない、という考え方もあるんだ。
僕たちにとって、プロジェクトを取り巻くあらゆる要素を自分たちでコントロールするのは刺激的なんだ。それは、音だけを重視して視覚的な要素を無視するようなエリート主義的な流れとは正反対にあるものだよ。ビジュアルが内容の価値を下げる、なんてことはないのにね。
どんなに穏やかなジャズマンであっても、ステージに上がる前にネクタイや靴を選ぶときには、ちゃんとした美的判断をしているわけさ。
というように、偶然生まれたものをベースに、それをどんどん膨らませていった――そして、そのビジュアルをコントロールするのを楽しんでいった、というところでしょう。さらに匿名性も、彼らにとっては重要なようです。
ちなみに、彼らにとって重要な「形」、それがトライアングルです。
曲の転換のタイミングなど、彼らは常に三角形をアピールします。よく見れば衣装にも黄金のトライアングルが描かれていますし、彼らにとってトライアングルは重要なものなのです。
Why triangles? “It’s the best shape,” Klek fires back, defending the polygon. During live shows, the duo throws up pyramid shapes to the crowd, and the crowd throws them back. “We just really fucking love triangles. They are beautiful, and the strongest shape,” Khn says without an ounce of hyperbole.
なぜ三角形を? 「それがベストな形だからさ」とクレックは即座に言い返し、その多角形を擁護した。ライブでは、デュオが観客に向かってピラミッドの形を手で示し、観客もそれを返していく。
「僕たちはとにかく三角形が大好きなんだ。美しいし、一番強い形だから」とクンは本気で語る。
フジロックでも、間違いなく彼らはステージ上で三角形を手で作ってくるでしょう。その時にはどうすればいいか、分かりますね?
ではいよいよ、メンバー二人について紹介しましょう。
クン・ド・ポワトリーヌ(Khn de Poitrine)は、先ほどから解説してきたマイクロトーナルを操る怪人です。いや、宇宙人です。
ドラムのクレックとは20年間一緒に演奏してきたと語られています。
We’ve been playing music together for 20 years, and we’ve always played mostly as a duo. We’ve had three-piece bands, but never really more than that. After 20 years, playing together is more natural than talking even. I feel absolutely satisfied, especially with the reception we’re getting.
クレック:僕達はもう20年も一緒に音楽をやってきていて、ずっと基本的にはデュオでやってきたんだ。3人編成のバンドをやったこともあるけど、それ以上になったことはほとんどない。
20年も一緒にやっていると、もはや会話するよりも一緒に演奏するほうが自然なくらいなんだ。今の状況には本当に満足しているよ、今受けている反応も含めてね。
ちなみに、マイクロトーナルを探求し始めたのはここ最近だとのこと。
In my 20 years of playing guitar, I’ve maybe spent four or five exploring microtonality.
クン:ギターを弾き始めて20年になるけど、そのうちマイクロトーナルを探求しているのはここ4、5年なんだ。
そして彼の弾く改造マイクロトーナル・ギター&ベースについては、このような話が残されています。
Il y a eu un bon processus de réflexion pour concevoir l’instrument, qui a été assemblé à partir de plein de morceaux modifiés par Raphaël LeBreton, un luthier de la région qui a vraiment été à l’écoute et qui a su comprendre que le but, c’était de servir les besoins du projet avec les moyens du bord, sans faire un build custom à 100% et que ça coûte six millions de dollars.
アンジーヌ・ド・ポワトリーヌ:この楽器を作るにあたってはかなりしっかりとした検討プロセスがあって、最終的にはこの地域のリュティエ(楽器製作者)であるラファエル・ルブルトンが、さまざまな改造パーツを組み合わせて組み上げたんだ。
彼は本当にこちらの意図をよく理解してくれていて、目的はあくまでプロジェクトのニーズに、手元にある手段で応えることだと分かっていた。完全なフルオーダーにして、何百万ドルもかかるようなものを作ることではなかったんだ。
In the beginning, Khn was playing with a microtonal guitar, looping it, and switching between guitar and bass while Klek laid down the beats. But they started toying with the idea of having a double-neck guitar made.
“We thought it would look fucking sick, and for 15 seconds, we were like, ‘Oh, that’s a funny joke.’ But it became clear that it was a good idea,” Klek says. After speaking to different luthiers, one who quoted Khn $12,000 per fret board (which they quickly declined), the guitar was made by a “professional friend” of Angine de Poitrine.
“The whole idea of the band was to assume a bit of a satirical approach to rock music in general,” Khn says. “We wanted an exaggeration, so the double-neck guitar was the perfect choice to kind of make fun of guitar heroes.”
最初の頃は、クンがマイクロトーナル・ギターを弾き、それをループさせながらギターとベースを行き来し、その上でクレックがビートを刻んでいた。でもやがて、ダブルネック・ギターを作るというアイデアが生まれた。
「見た目がめちゃくちゃカッコよくなると思ったし、最初の15秒くらいは『面白いジョークだな』って感じだった。でもすぐに、これはいいアイデアだって分かったんだ」とクレックは言う。いくつかの楽器製作者に相談し、ある人物などはフレットボード1枚につき1万2000ドルという見積もりを出してきた。もちろんそれは却下され、最終的には彼らの友人によって改造ギターが制作された。
「このバンドのコンセプト全体は、ロックそのものに対して少し風刺的なアプローチを取ることだった」とクンは言う。「大げさにやりたかったから、ダブルネック・ギターはギターヒーローを茶化すのに完璧な選択だったんだ」
Khn ne se lancera pas des fleurs, mais moi je vais lui en lancer. C’est vraiment compliqué. T’as deux manches! Les deux ont deux fois plus de notes que d’habitude. Le risque d’erreur est deux fois plus grand! C’est tout un instrument, souligne Klek à propos de son humble partenaire.
「クンは自分で自分を褒めたりはしないだろうけど、僕が代わりに褒めておくよ。あの楽器は本当に難しいんだ。ネックが2本あるし、それぞれに普通の倍の音がある。ミスのリスクも2倍だよ! とんでもない楽器なんだ」と、控えめな相棒についてクレックは語る。
彼はジョン・スコフィールド、キング・ギザード、フランク・ザッパ、それに70年代のプログレなどの影響があると語っています。彼らの影響元についての詳細は次回の記事で紹介します。
また、彼の手足のメイクなどは集中に役立っているとのこと。
« Ce que j’aime, c’est le rituel d’avant show », poursuit Khn. « L’heure qu’on passe à se préparer et à se maquiller avant chaque concert nous place dans l’état d’esprit nécessaire pour se concentrer sur notre performance. »
「僕が好きなのは本番前の儀式だ」とクンは続ける。「準備してメイクする1時間が、演奏に集中するための状態に導いてくれる。」
ちなみに、彼らのリハーサルはクンの家で行われているようです。
Then and now, the twosome utilize Khn’s house as a rehearsal space, a spot they say is “chaotic and kind of falling apart,” with ants, mice, mold on the walls, and water leaking from the roof. There’s also a serenity to their environs that makes the weirdness that they do possible. “It’s in a calm area out in the woods where one can make a lot of noise at any given time,” notes Klek.
当時も今も、二人はクンの家をリハーサルスペースとして使っている。それは「カオスでボロボロな」場所で、アリやネズミがいて、壁にはカビが生え、屋根から水が漏れているという。しかし同時に、その環境には彼らの奇妙なリハーサルを可能にする静寂がある。「森の中の静かな場所だから、いつでも大きな音を出せるんだ」とクレックは言う。
クレック・ド・ポワトリーヌ(Klek de Poitrine)はドラム担当の怪人、いや、宇宙人です。
クンとは子供の頃から長年に渡ってバンドを組んでいました。
“The first time we heard each other musically, it was our first jam together,” says Khn (or is it Klek?) of linking up in northern Quebec where both figures were raised. “Through those childhood years, we approached music like a playground rather than a workspace. We spent afternoons in the basement, or sometimes brought the drums and amps out to a field, improvising freely. I think what made us stick together and develop a tight-knit common artistic vision is the fact we’ve always shared a complete lack of interest toward playing covers, and have learned to play together through free improv rather than expressing verbally any stylistic intention whatsoever.”
「音楽でお互いを初めて知ったのは、一緒に最初のジャムをしたときだった」とクン、あるいはクレックは二人が育ったケベック北部で出会った頃を振り返る。
「子どもの頃は、音楽を仕事場というより遊び場みたいに捉えていたんだ。地下室で午後を過ごしたり、ときにはドラムやアンプを野原に持ち出して、自由に即興演奏したりしてね。僕たちが一緒にやり続けて、共通の強い芸術的ビジョンを築けた理由は、カバー曲を演奏することにまったく興味がなかったからだと思う。僕たちはスタイルについて言葉で説明し合うのではなく、完全にフリー・インプロヴィゼーションを通して一緒に演奏することを学んできたんだ」
ここで語られているように、お互いが即興演奏に興味があり、バンドでカヴァーを演奏してこなかったことがこの独特なスタイルを生んでいるということなのでしょう。
そしてここまで触れてきませんでしたが、マイクロトーナル・ギター&ベースに変拍子という最高に変態なアイデアがありつつ、それでも彼らの音楽が踊れてしまうのは、このクレックのドラムのおかげです。
彼のタイトで正確なドラム、そしてディスコを経由していると語られているダンサブルなグルーヴが、素晴らしい役割を果たしています。
“My mission statement has always been to try and bring fresh musical ideas out there, to stimulate the brain with elements of surprise while keeping things somewhat simple. And I’m willing to bet my right hand that Klek’s mission statement will be about making those ideas danceable,” Khn says with a laugh.
“I always try to make those odd time signatures somewhat digestible,” Klek says in agreement. “I like to navigate between tight, ‘complicated’ beats and super danceable ones. Like the guitar, I try to create those tensions and release patterns.”
クンは笑いながら、「僕のミッションは常に新しいアイデアを出して、驚きの要素で脳を刺激しつつ、ある程度のシンプルさを保つことなんだ。そして、クレックのミッションはそれらを踊れるものにすること」と語る。
「僕はいつも、ああいう変拍子をできるだけ消化しやすくするようにプレイしている」とクレックも同意する。「タイトで複雑なビートと、すごく踊れるビートの間を行き来するのが好きなんだ。ギターと同じように、緊張と解放のパターンを作ろうとしているんだよ」
ここでも語られているように、マイクロトーナル&変拍子のフレーズに対し、最初は即興的で拍を取りづらいドラムで絡み、途中から一気に踊れるビートに切り替えていくのがクレックの役割です。
どこからどう見ても変態なバンドが最高に気持ちよく聴こえるのは、この「踊れるようになった」瞬間の解放感、まさに「緊張と解放のパターン」が原因でしょう。
ちなみに彼のマスクのせいで視界は悪く、猛烈に暑いそうです。
Regrettent-ils parfois de s’être littéralement enfermés dans leurs uniformes de papier mâché? « Disons que c’est une expérience sensorielle sans précédent », explique Klek. « Je suis celui des deux qui a la vue la moins obstruée par son costume et tout ce que je vois, c’est un de mes toms et ma cymbale crash, alors imagine ce que c’est pour Khn! Mais le vrai challenge, c’est la chaleur et selon les conditions de la salle où on joue, je peux frôler l’évanouissement. À la fin du show, il fait environ 50 degrés Celsius à l’intérieur de mon masque! »
彼らは、自分たちが衣装の中に閉じ込められていることをたまに後悔するのだろうか?
「前例のない体験だ、と言っておこうかな」とクレックは説明する。「二人の中では僕のほうがまだ視界がマシなほうなんだけど、それでも見えるのは自分のタムの一つとクラッシュシンバルくらいなんだ。ということは……(ギター&ベースを弾く)クンの視界を想像してみてよ! でも本当のチャレンジは暑さだ。会場の条件によっては、気を失いそうになることもある。ライブの終わりには、マスクの中はだいたい(摂氏)50度くらいになってるんだ!」
以上が前半の記事でした。後半の記事は彼らの音楽的影響元のまとめ、また機材などについて解説していきます。
<参考インタビュー>
◆著者◆
Dr.ファンクシッテルー
宇宙からやってきたファンク博士。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンド「KINZTO」で活動。「KINZTO」と並行して、音楽ライターとしても活動しています。
■バンド公認のVulfpeckファンブック■
■ファンクの歴史■
source
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